血尿の原因が、尿路(尿管、膀胱、尿道)からの出血ではなく、尿が作られる腎臓の糸球体(しきゅうたい)という部分の異常による場合、主に「腎臓内科(じんぞうないか)」が診療を担当することになります。糸球体は、血液をろ過して尿を生成する非常に重要なフィルターの役割を担っていますが、ここに炎症や損傷が起こると、血液中の赤血球が尿中に漏れ出て血尿となります。このような腎臓由来の血尿は「内科的血尿」とも呼ばれ、泌尿器科で扱う「外科的血尿」(尿路からの出血)とは区別されます。腎臓内科が関わる代表的な血尿の原因疾患としては、「IgA腎症」が挙げられます。これは、免疫グロブリンの一種であるIgAが糸球体に沈着することで炎症を引き起こす病気で、若年層に多く、慢性の経過をたどり、進行すると腎機能が低下する可能性があります。学校検尿などで顕微鏡的血尿や蛋白尿を指摘されて発見されることが多いです。その他にも、「急性糸球体腎炎(急性腎炎)」は、主に溶連菌感染後に発症し、血尿、蛋白尿、高血圧、むくみなどの症状が現れます。「急速進行性糸球体腎炎」は、数週間から数ヶ月という短い期間で急激に腎機能が悪化する重篤な疾患で、早期の診断と強力な治療が必要です。「ループス腎炎」は、全身性エリテマトーデス(SLE)という自己免疫疾患に伴って腎臓に炎症が起こるもので、血尿や蛋白尿が見られます。また、「膜性増殖性糸球体腎炎」や「巣状分節性糸球体硬化症」など、様々な種類の糸球体腎炎が血尿の原因となり得ます。これらの腎臓内科的疾患による血尿の特徴としては、尿沈渣検査で赤血球の形が変形している(変形赤血球)ことが多い点や、血尿とともに蛋白尿を伴うことが多い点が挙げられます。診断のためには、尿検査や血液検査に加え、腎生検(腎臓の組織の一部を採取して顕微鏡で詳しく調べる検査)が必要となる場合があります。腎生検は、正確な診断を下し、適切な治療方針を決定するために非常に重要な検査です。腎臓内科的血尿は、放置すると慢性腎臓病(CKD)に進行し、将来的には透析が必要になる可能性もあるため、早期の発見と専門医による適切な管理が不可欠です。
腎臓内科が関わる血尿とは?糸球体腎炎など