血尿の症状で泌尿器科を受診した場合、原因を特定するために様々な検査が行われます。これらの検査は、患者さんの状態や疑われる疾患に応じて段階的に進められるのが一般的です。まず最初に行われるのが「問診」です。いつから血尿に気づいたか、血尿の色や程度(鮮血か、暗赤色か、血の塊はあるかなど)、他に症状はあるか(排尿時痛、頻尿、残尿感、腹痛、背部痛、発熱など)、既往歴、服薬状況、喫煙歴、家族歴などを詳しく聴取します。これらの情報は、診断の方向性を決める上で非常に重要です。次に、必ず行われるのが「尿検査」です。尿試験紙法で潜血反応の有無や程度を確認し、さらに尿沈渣(にょうちんさ)検査で尿中の赤血球の数や形状、白血球、細菌、結晶、細胞などを顕微鏡で詳細に観察します。赤血球の形状が変形している場合は腎臓の糸球体由来の血尿(内科的血尿)が疑われ、形状が正常であれば尿路からの出血(外科的血尿)が考えられます。また、細菌や白血球が多ければ尿路感染症の可能性が高まります。尿細胞診といって、尿中の細胞に悪性のものがないかを調べる検査も、特にがんが疑われる場合には行われます。「血液検査」も重要な検査の一つで、腎機能(クレアチニン、eGFRなど)、炎症反応(CRP、白血球数など)、貧血の有無、場合によっては腫瘍マーカーなどを調べます。画像検査としては、まず「超音波検査(エコー検査)」が行われることが多いです。腎臓や膀胱の形態、結石の有無、腫瘍の存在などを、体に負担なく調べることができます。より詳細な情報が必要な場合には、「CT検査」や「MRI検査」が行われます。これらの検査は、小さな結石や腫瘍の発見、病変の広がりなどをより精密に評価するのに役立ちます。特に、造影剤を使用したCTウログラフィーは、尿路全体の詳細な評価が可能です。そして、膀胱や尿道からの出血が疑われる場合や、がんのスクリーニングとして重要なのが「膀胱鏡検査(内視鏡検査)」です。尿道から細い内視鏡を挿入し、膀胱内や尿道を直接観察することで、ポリープや腫瘍、結石、炎症などを視覚的に確認できます。必要に応じて、組織の一部を採取して病理検査(生検)を行うこともあります。これらの検査結果を総合的に判断し、血尿の原因を特定し、適切な治療方針が立てられます。
泌尿器科で行われる血尿の検査と診断プロセス