「最近、物忘れがひどくなった」「同じことを何度も聞くようになった」「慣れた道で迷うことがある」など、本人や家族が認知症の初期症状かもしれないと気づいた時、最初にどの診療科を受診すれば良いのか迷う方は少なくありません。認知症は早期発見・早期対応が非常に重要であり、適切な医療機関に繋がることは、その後の進行を緩やかにしたり、生活の質を維持したりする上で大きな意味を持ちます。まず、認知症の診断や治療を専門的に行っている代表的な診療科としては、「精神科(神経科)」や「脳神経内科(神経内科)」、「老年科(老年病科)」が挙げられます。これらの診療科には、認知症の専門医が在籍していることが多く、専門的な検査や診断、治療を受けることが期待できます。しかし、いきなり専門的な診療科を受診することに抵抗がある場合や、どの専門科が適切か判断に迷う場合は、まずはかかりつけ医に相談するのが良いでしょう。かかりつけ医は、普段の健康状態や既往歴を把握しており、全身状態を考慮した上で、認知症の可能性について初期的な評価を行ってくれます。その上で、必要に応じて専門医を紹介してくれるため、スムーズな連携が期待できます。また、最近では「物忘れ外来」や「認知症疾患医療センター」といった、認知症に特化した専門外来や機関も増えています。これらの専門外来では、認知症の診断だけでなく、治療方針の決定、介護サービスとの連携、家族へのサポートなど、包括的な支援を行っている場合が多いです。自治体の高齢者支援窓口や地域包括支援センターに相談すれば、近隣の専門医療機関や物忘れ外来の情報を提供してもらえることもあります。大切なのは、一人で抱え込まず、不安を感じたら早めに医療機関や相談窓口にアクセスすることです。初期の段階で適切な対応を始めることが、本人にとっても家族にとっても、より良い未来に繋がる第一歩となります。
認知症の初期症状に気づいたらまず相談すべき診療科