食べ物の味がしない、薄く感じる、あるいは変な味がするといった味覚障害。その原因は一つではなく、様々な要因が関わっている可能性があります。代表的な原因を理解しておきましょう。まず、最も多い原因の一つとされているのが、「亜鉛欠乏」です。亜鉛は、味を感じる細胞である味蕾(みらい)の新陳代謝や、味覚神経の機能維持に不可欠なミネラルです。亜鉛が不足すると、味蕾の細胞が正常に作られなくなったり、味覚神経の伝達が悪くなったりして、味覚障害が起こります。偏った食生活や無理なダイエット、あるいは一部の薬剤(利尿薬や降圧薬など)の副作用、加齢による吸収不良などが亜鉛欠乏の原因となります。次に、「薬剤性味覚障害」も比較的多く見られます。服用している薬の副作用として、味覚が変化したり、特定の味が分からなくなったりすることがあります。降圧薬、利尿薬、抗うつ薬、抗不安薬、抗がん剤、抗菌薬、抗ヒスタミン薬など、多くの種類の薬剤が味覚障害を引き起こす可能性が報告されています。また、「感冒後味覚障害」といって、風邪やインフルエンザといった上気道感染症の後に、味覚障害が残ることがあります。これは、ウイルス感染によって味蕾や味覚神経がダメージを受けるためと考えられています。嗅覚障害を伴うことも多く、風味障害(食べ物の風味が分からなくなる)として自覚されることもあります。「全身疾患に伴う味覚障害」も重要です。糖尿病や腎不全、肝機能障害、甲状腺機能低下症といった病気は、代謝異常や神経障害、栄養障害などを介して、味覚に影響を与えることがあります。「口腔内の問題」も味覚障害の原因となります。口腔乾燥症(ドライマウス)で唾液の分泌が減少すると、味が物質として溶け出しにくくなり、味覚が低下します。また、舌炎や口腔カンジダ症、歯周病、義歯の不適合なども味覚に影響します。その他、頭部外傷や脳血管障害、脳腫瘍といった脳の病気、あるいは精神的なストレスやうつ病などが、味覚中枢や味覚伝導路に影響を与え、味覚障害を引き起こすこともあります。