大人が手足口病にかかると、子どもよりも症状が重くなることがあり、つらい思いをすることが少なくありません。では、大人が手足口病と診断された場合、どのような治療法や自宅療養のポイントがあるのでしょうか。残念ながら、手足口病の原因となるエンテロウイルスに直接効く特効薬(抗ウイルス薬)は現在のところありません。そのため、治療は基本的に、症状を和らげるための対症療法が中心となります。まず、発熱や頭痛、関節痛、筋肉痛、そして手足の発疹や口内炎の痛みに対しては、解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンやイブプロフェンなど)が処方されることがあります。ただし、自己判断で市販薬を使用する際は、薬剤師に相談するか、医師の指示に従いましょう。口の中の痛みに対しては、うがい薬やトローチ、炎症を抑えるスプレー、あるいは痛みを和らげる塗り薬などが用いられることがあります。皮膚の発疹にかゆみがある場合は、抗ヒスタミン薬の内服や塗り薬が処方されることもあります。自宅療養のポイントとしては、まず安静と休養が第一です。高熱や強い倦怠感、体の痛みがある間は、無理をせず、できるだけ横になって体を休めましょう。十分な睡眠をとることも、体力の回復には不可欠です。次に、水分補給も非常に大切です。発熱や食欲不振、口内炎による嚥下困難などから、脱水症状を起こしやすいため、経口補水液やスポーツドリンク、湯冷まし、麦茶などをこまめに摂取しましょう。食事は、喉越しの良い、刺激の少ない、消化の良いものを選びます。おかゆやうどん、スープ、ゼリーなどがおすすめです。そして、周囲への感染を防ぐために、咳エチケット(マスクの着用など)を心がけ、手洗いを徹底することも重要です。特に、トイレの後やおむつ交換の後(子どもが感染している場合)、食事の前などは、石鹸と流水で丁寧に手を洗いましょう。タオルや食器の共用も避けた方が良いでしょう。症状が改善するまでは、仕事や学校は休み、人との接触をできるだけ避けるようにしましょう。
大人の手足口病治療法と自宅療養のポイント