胸焼け、呑酸(どんさん:酸っぱいものが上がってくる感じ)、胸のつかえ感、咳、喉の違和感など、逆流性食道炎を疑う症状が現れた時、最初にどの診療科を受診すれば良いのか迷う方もいるでしょう。逆流性食道炎は、胃の内容物、特に胃酸が食道へ逆流することによって、食道の粘膜に炎症やびらん(ただれ)が起こる病気です。この病気の診断と治療を専門的に行っているのは、主に「消化器内科(胃腸科)」です。消化器内科医は、胃や食道、腸などの消化管の病気を専門としており、問診、内視鏡検査(胃カメラ)、バリウム検査などを通じて、逆流性食道炎の診断を正確に行い、症状の程度や原因に応じた適切な治療法(薬物療法、生活習慣の改善指導など)を提案してくれます。特に、内視鏡検査は、食道の炎症の程度を直接観察できるだけでなく、食道がんや胃がんなど、他の重大な疾患との鑑別を行うためにも非常に重要な検査です。しかし、必ずしも最初から消化器内科を受診しなければならないわけではありません。かかりつけの内科医がいる場合は、まずそこで相談してみるのも良いでしょう。かかりつけ医は、症状の初期評価を行い、逆流性食道炎が疑われる場合には、症状を和らげるための薬を処方したり、必要に応じて消化器専門医への紹介状を作成してくれたりします。また、胸の痛み(胸痛)が主な症状である場合、心臓の病気(狭心症や心筋梗塞など)との鑑別が重要になることもあります。そのような場合は、循環器内科の受診も視野に入れる必要がありますが、まずは内科医に相談し、適切な振り分けをしてもらうのが賢明です。耳鼻咽喉科領域の症状、例えば長引く咳や喉の違和感、声のかすれなどが主な場合、逆流した胃酸が喉や気管を刺激している「咽喉頭逆流症(いんこうとうぎゃくりゅうしょう)」の可能性も考えられます。この場合は、耳鼻咽喉科医が対応することもありますが、消化器内科との連携が必要になることが多いです。重要なのは、自己判断で市販薬を使い続けたり、症状を放置したりしないことです。適切な診断と治療を受けることで、不快な症状を改善し、合併症(食道狭窄、バレット食道、食道がんなど)のリスクを減らすことができます。
逆流性食道炎の症状が出たらまず何科を受診?