脂肪腫の治療の基本は手術による摘出ですが、この手術はどの診療科で、どのような方法で行われるのでしょうか。脂肪腫の手術を主に行っているのは、皮膚科、形成外科、そして整形外科です。どの科で手術を受けるかは、脂肪腫の大きさや場所、深さ、そして患者さんの希望(例えば、傷跡をできるだけ目立たなくしたいなど)によって選択されます。まず、手術の方法ですが、最も一般的なのは「摘出術」です。局所麻酔(場合によっては全身麻酔)のもと、脂肪腫の直上の皮膚を、脂肪腫の大きさに応じて数センチから十数センチ程度切開します。そして、脂肪腫を包んでいる薄い膜(被膜)ごと、周囲の正常な組織から丁寧に剥がして取り除きます。被膜ごとしっかりと取り除くことが、再発を防ぐためには重要です。取り出した脂肪腫は、念のため病理組織検査に提出し、良性であることを最終確認します。その後、出血がないことを確認し、皮膚を縫合して手術は終了です。手術時間は、脂肪腫の大きさや場所にもよりますが、通常は30分から1時間程度であることが多いです。多くの場合、日帰り手術が可能ですが、脂肪腫が非常に大きかったり、深部にあって重要な血管や神経に近い場合、あるいは全身麻酔が必要な場合などは、入院が必要となることもあります。手術を行う診療科ですが、皮膚の浅い部分にある比較的小さな脂肪腫であれば、皮膚科でも手術が可能です。形成外科は、体の表面の形態を整えることを専門としており、機能回復だけでなく、美容的な側面も重視した手術を行います。そのため、顔や首、手足など、傷跡が目立ちやすい部位の脂肪腫や、よりきれいに治したいという希望がある場合は、形成外科が適しています。また、大きな脂肪腫や、筋肉内、あるいは神経や血管に近い場所にある複雑な脂肪腫に対しても、専門的な技術で対応してくれます。整形外科は、主に四肢や体幹部にできた軟部腫瘍を扱っており、特に筋肉内や関節周囲にできた脂肪腫で、運動機能への影響が懸念される場合に、手術を行うことがあります。どの科で手術を受けるかについては、まずは診断を受けた医師とよく相談し、それぞれの科の特徴や、担当医の経験などを考慮して決定するのが良いでしょう。