足の爪のトラブルでよく聞かれる「巻き爪」と「陥入爪(かんにゅうそう)」。これらの言葉は、しばしば混同されたり、同じような意味で使われたりすることもありますが、厳密には少し異なる状態を指します。そして、どちらの診断であっても、受診すべき診療科は基本的には共通しています。まず、「巻き爪」とは、爪が横方向に湾曲し、内側に巻いている状態を指します。爪の先端がアルファベットの「C」の字や、ひどい場合は「O」の字のように丸く巻いてしまうこともあります。巻き爪自体は、必ずしも痛みを伴うわけではありませんが、巻き込みが強くなると、爪が皮膚を圧迫して痛みが生じたり、見た目が気になったりすることがあります。主な原因としては、足に合わない靴の着用、誤った爪の切り方、加齢、遺伝などが考えられます。一方、「陥入爪」とは、爪の角や縁が、周囲の皮膚(爪郭:そうかく)に食い込んでしまい、炎症や痛みを引き起こしている状態を指します。深爪や、爪の角を切りすぎることが主な原因となります。爪が皮膚に刺さることで、赤み、腫れ、ズキズキとした痛みが生じ、進行すると膿が出たり、肉芽(にくげ:赤い盛り上がった組織)ができたりすることもあります。巻き爪と陥入爪は、しばしば合併して起こります。つまり、巻いている爪が、さらに皮膚に食い込んで炎症を起こすというケースです。そのため、両者を厳密に区別せずに、「巻き爪」という言葉が、陥入爪を含めた爪の変形や食い込みによるトラブル全般を指す総称として用いられることも少なくありません。どちらの診断名であっても、あるいは両方が合併している場合であっても、受診すべき診療科は、主に皮膚科、形成外科、整形外科となります。これらの科の医師は、爪の状態や炎症の程度を評価し、保存的治療(テーピング、コットンパッキング、爪の切り方指導、矯正治療など)から、場合によっては手術療法まで、適切な治療法を選択してくれます。大切なのは、診断名にこだわりすぎることなく、症状が現れたら早めに専門医に相談することです。