逆流性食道炎の治療において、薬物療法と並んで非常に重要なのが、日常生活におけるセルフケア、すなわち生活習慣の改善です。いくら効果の高い薬を服用していても、胃酸の逆流を引き起こしやすい生活習慣を続けていては、症状の改善が遅れたり、再発を繰り返したりする可能性があります。まず見直すべきは「食生活」です。脂肪分の多い食事、チョコレート、柑橘類、香辛料の強いもの、コーヒー、アルコール、炭酸飲料などは、胃酸の分泌を促進したり、食道下部の括約筋を緩めたりする作用があるため、摂取を控えるか、量を減らすように心がけましょう。また、一度にたくさん食べる「ドカ食い」や、早食いも胃に負担をかけ、逆流を引き起こしやすいため、腹八分目を意識し、よく噛んでゆっくりと食事をすることが大切です。就寝前の食事も厳禁です。胃の中に食べ物が残ったまま横になると、胃酸が逆流しやすくなります。就寝の2~3時間前までには食事を済ませるようにしましょう。次に「食後の過ごし方」です。食後すぐに横になったり、前かがみの姿勢で作業をしたりすると、胃が圧迫されて逆流を助長します。食後は30分から1時間程度は座って過ごすか、軽い散歩などをするのが理想です。また、「睡眠時の工夫」も有効です。就寝中に胃酸が逆流しやすい方は、上半身を少し高くして寝ると、重力の作用で逆流を防ぐ効果が期待できます。枕を高くするだけでなく、ベッドの頭側を少し持ち上げるか、専用の傾斜枕を利用すると良いでしょう。左側を下にして寝るのも、胃の形状から逆流しにくいと言われています。「体重管理」も重要です。肥満、特に内臓脂肪が増えると腹圧が上昇し、胃が圧迫されて逆流しやすくなります。適度な運動とバランスの取れた食事で、適正体重を維持するように努めましょう。「服装」にも注意が必要です。ベルトをきつく締めたり、コルセットやガードルなどで腹部を圧迫したりする服装は、腹圧を上げてしまうため避けましょう。そして「禁煙」は必須です。喫煙は、食道下部括約筋の機能を低下させ、胃酸の分泌を促進し、唾液の分泌を減少させるなど、逆流性食道炎を悪化させる多くの要因となります。これらのセルフケアは、すぐに効果が出るものではありませんが、根気強く続けることで、症状の改善や再発予防に大きく貢献します。
生活習慣の改善が鍵!逆流性食道炎のセルフケア