脂肪腫と診断された場合、必ずしもすぐに治療が必要となるわけではありません。治療法は、脂肪腫の大きさや場所、症状の有無、そして患者さんの希望などを総合的に考慮して決定されます。まず、痛みやしびれといった自覚症状がなく、日常生活にも支JRがなく、また美容的にも特に気にならない小さな脂肪腫であれば、「経過観察」というのも有力な選択肢の一つです。脂肪腫は良性の腫瘍であり、悪性化することは極めて稀であるため、無理に治療をせず、定期的に大きさに変化がないかなどをチェックしながら様子を見ることが多いです。特に、高齢の方や、手術のリスクが高い持病をお持ちの方などでは、積極的に治療を行わないこともあります。しかし、以下のような場合には、治療(主に手術による切除)が検討されます。脂肪腫が徐々に大きくなってきて、見た目が気になる場合(美容的な理由)。脂肪腫が神経を圧迫して、痛みやしびれ、感覚の鈍麻といった症状が出ている場合。脂肪腫が関節の近くにできて、動きを妨げたり、運動時に痛みを感じたりする場合。衣服やベルトなどで擦れて、炎症や不快感がある場合。脂肪腫が非常に大きく、日常生活で邪魔になる場合。そして、診断が確定しておらず、他の悪性の腫瘍との鑑別が必要な場合や、患者さん自身が切除を強く希望する場合などです。脂肪腫の治療の基本は、「手術による摘出」です。多くの場合、局所麻酔による日帰り手術が可能で、脂肪腫の大きさや深さに応じて皮膚を切開し、脂肪腫を周囲の組織から剥がして取り除きます。取り除いた脂肪腫は、念のため病理組織検査(顕微鏡で細胞を調べる検査)を行い、良性であることを最終確認します。手術時間は、脂肪腫の大きさや場所にもよりますが、通常は30分から1時間程度です。手術による合併症としては、出血、感染、傷跡、そして稀に神経損傷などが考えられます。脂肪吸引という方法が試みられることもありますが、完全に取りきれずに再発する可能性があるため、あまり一般的ではありません。注射などで脂肪腫を小さくするような薬物療法は、現在のところ確立されていません。
脂肪腫の治療法放置しても大丈夫?