手足口病の最も特徴的な症状である発疹。大人がかかった場合、この発疹にはどのような特徴があり、どの程度の痛みを伴うのでしょうか。子どもの場合と比較しながら見ていきましょう。手足口病の発疹は、主に手のひら、足の裏、そして口の中に現れる水疱(すいほう:水ぶくれ)です。大きさは、米粒大から小豆大くらいで、周囲に赤みを伴うこともあります。大人の場合、この発疹が子どもに比べて痛みを強く感じやすい傾向があります。特に、足の裏にできた発疹は、体重がかかるため、歩くたびにズキンとしたり、ジンジンとしたりする激しい痛みが生じ、歩行が困難になることも少なくありません。靴を履くのもつらくなることがあります。手のひらの発疹も、物をつかんだり、字を書いたりといった日常的な動作で痛みを感じ、仕事や家事に支障をきたすことがあります。また、水疱が破れると、びらん(ただれた状態)になり、さらに痛みが強くなることもあります。口の中の発疹(口内炎)も、大人では強い痛みを伴うことが多く、食事や水分摂取が非常に困難になることがあります。熱いものや冷たいもの、酸っぱいもの、辛いものなどがしみて、激痛が走ることもあります。そのため、食欲不振や脱水症状にも注意が必要です。発疹の数や範囲も、大人の方が広範囲に及ぶことがあると言われています。手足口だけでなく、お尻や膝、肘、体幹部などにも発疹が広がることがあります。特に、近年流行しているコクサッキーウイルスA6型(CA6)による手足口病では、このような広範囲な発疹が見られやすいとされています。発疹のかゆみについては、個人差が大きく、全くかゆみがない人もいれば、強いかゆみを伴う人もいます。もし、かゆみが強い場合は、掻き壊さないように注意し、医師に相談してかゆみ止めを処方してもらうと良いでしょう。このように、大人の手足口病の発疹は、痛みを伴いやすく、日常生活への影響も大きいため、早期に医療機関を受診し、適切な対症療法を受けることが大切です。