子供に血尿が見られた場合、保護者の方は非常に心配されることでしょう。子供の血尿も、大人と同様に様々な原因で起こり得ますが、年齢によって頻度の高い疾患が異なる場合があります。まず、比較的よく見られるのは「尿路感染症」です。特に乳幼児期では、発熱以外の症状がはっきりしないこともあり、原因不明の発熱で尿検査をして初めて尿路感染症と診断され、血尿が見つかることがあります。排尿時痛を訴えたり、おむつに血が付着したりすることもあります。次に、「急性糸球体腎炎」も子供に起こりやすい血尿の原因の一つです。特に、溶連菌感染(咽頭炎や皮膚感染症など)の後、1~2週間してから血尿、蛋白尿、むくみ、高血圧などが現れることがあります。コーラ色の尿が特徴的です。学校検尿で顕微鏡的血尿や蛋白尿を指摘されて見つかることも多いのが「IgA腎症」です。これは慢性的な経過をたどる腎炎で、風邪などをひいた後に肉眼的血尿が出現することがあります。また、「ナットクラッカー現象(症候群)」といって、左腎静脈が腹部大動脈と上腸間膜動脈に挟まれて圧迫され、腎臓からの血液の戻りが悪くなることで血尿(特に左腎からの血尿)が起こることがあります。これは、やせ型の思春期の子供に比較的多く見られます。その他にも、稀ではありますが、尿路結石や、腎臓や膀胱の先天的な形態異常、ウィルムス腫瘍などの小児がん、あるいは外傷などが血尿の原因となることもあります。また、家族性(遺伝性)の腎疾患(アルポート症候群など)でも血尿が見られることがあります。子供の血尿に気づいたら、まずはかかりつけの「小児科」を受診するのが一般的です。小児科医は、子供の年齢や症状、全身状態を総合的に評価し、必要な検査(尿検査、血液検査、超音波検査など)を行います。その結果、より専門的な診断や治療が必要と判断された場合には、小児腎臓専門医や小児泌尿器科医のいる医療機関へ紹介されることになります。大切なのは、血尿の色や量、他の症状(発熱、腹痛、むくみ、元気のなさなど)をよく観察し、正確に医師に伝えることです。一過性で問題のない血尿もあれば、治療が必要な疾患が隠れている場合もあるため、自己判断せずに専門医の診察を受けるようにしましょう。