ある日ふと、首の後ろ(うなじのあたりや後頭部との境目など)に、今までなかった「しこり」や「こぶ」のようなものを見つけると、誰でも不安になるものです。「これは何だろう?」「悪いものではないだろうか?」そして、「何科を受診すれば良いのだろう?」と迷ってしまうでしょう。首の後ろにできるしこりの原因は様々で、比較的心配のないものから、注意が必要な病気まで考えられます。最初に相談すべき診療科としては、まず皮膚科が挙げられます。皮膚科医は、皮膚や皮下組織にできるしこり全般の診断と治療を専門としており、首の後ろにできやすい良性の腫瘍である粉瘤(ふんりゅう:アテローム)や脂肪腫(しぼうしゅ)などの診断と治療(必要であれば手術による切除も)を行います。また、しこりがリンパ節の腫れである可能性も考えられます。この場合は、内科やかかりつけ医も初期対応をしてくれます。風邪や他の感染症が原因でリンパ節が腫れている場合は、その治療を行いますし、原因がはっきりしない場合や、悪性の病気(悪性リンパ腫やがんの転移など)が疑われる場合には、より専門的な検査や治療が可能な医療機関(血液内科や腫瘍内科、耳鼻咽喉科など)へ紹介してくれます。整形外科も、首の骨(頸椎)や筋肉、神経に関連するしこり(例えば、ガングリオンや神経鞘腫など)や、筋肉の異常な硬直(筋硬結)などを扱うことがあります。特に、しこりに加えて首の痛みや肩こり、手のしびれといった症状がある場合は、整形外科的な問題も考慮されます。形成外科は、体の表面にできた腫瘍の切除手術を、機能面だけでなく美容的な側面も考慮して行ってくれます。どの科を受診すべきか迷う場合は、まずはかかりつけ医に相談するか、あるいはしこりの状態(皮膚の表面に近いか、深いか、硬さ、痛みなど)を考慮して、皮膚科か内科を受診してみるのが良いでしょう。自己判断せずに、早めに専門医の診察を受けることが大切です。