認知症の疑いがある場合、専門的な診断やサポートを受けることができる場所として、「物忘れ外来」や「認知症疾患医療センター」があります。これらは、認知症に特化した医療サービスを提供するために設けられており、早期発見・早期対応に大きな役割を果たしています。物忘れ外来は、その名の通り、物忘れを主訴とする患者さんを対象とした専門外来で、主に精神科、脳神経内科、老年科などの医師が担当しています。一般的な外来よりも時間をかけて問診や診察を行い、認知機能検査(例えば、長谷川式認知症スケールやMMSEなど)、必要に応じて頭部画像検査(CTやMRI)、血液検査などを実施し、認知症の診断や原因疾患の特定、重症度の評価を行います。診断がついた後は、薬物療法や非薬物療法(リハビリテーションなど)の提案、生活上のアドバイス、介護保険サービスの利用に向けた情報提供など、多角的なサポートが期待できます。かかりつけ医からの紹介で受診するケースもあれば、本人や家族が直接予約して受診できる場合もあります。一方、認知症疾患医療センターは、都道府県や指定都市が指定する医療機関で、認知症の専門医療相談、鑑別診断、急性期対応、専門医の育成、地域連携の推進など、より広範な役割を担っています。センターには、認知症専門医だけでなく、看護師、精神保健福祉士、臨床心理士、作業療法士といった多職種の専門スタッフが配置され、チーム医療で対応しているのが特徴です。鑑別診断が難しいケースや、行動・心理症状(BPSD)が強く在宅生活が困難になった場合の入院治療、合併症の管理なども行います。また、地域の医療機関や介護サービス事業者、地域包括支援センターなどとの連携拠点としての機能も持ち、認知症の人とその家族が地域で安心して暮らせるための支援体制づくりにも貢献しています。どちらの窓口も、認知症に関する不安や悩みを抱える人にとって、心強い相談先となるでしょう。
物忘れ外来や認知症疾患医療センターとは?