ランニングやジャンプ、ダッシュといった動作を繰り返すスポーツ選手や、長距離を走るランナーにとって、足の裏やかかとの痛みは比較的起こりやすいトラブルの一つです。これらの痛みは、パフォーマンスの低下に直結するだけでなく、悪化すると競技生活にも影響を及ぼす可能性があるため、早期の適切な対応が重要です。スポーツ選手やランナーに多いかかと痛の原因として、まず最も代表的なのが、やはり「足底筋膜炎」です。着地時の繰り返しの衝撃や、蹴り出しの際の強い負荷によって、足底筋膜に微細な損傷や炎症が生じやすくなります。特に、硬い路面でのトレーニング、不適切なランニングフォーム、クッション性の低いシューズの使用、急激な練習量の増加、ふくらはぎやアキレス腱の柔軟性不足などが、発症のリスクを高めます。次に、「アキレス腱付着部炎」や「踵骨後部滑液包炎」も、かかと後方の痛みの原因となります。アキレス腱付着部炎は、アキレス腱がかかとの骨に付着する部分に炎症が起こるもので、ランニングやジャンプ動作でアキレス腱に繰り返しストレスがかかることで発症します。踵骨後部滑液包炎は、アキレス腱とかかとの骨の間にある滑液包(衝撃を和らげる袋状の組織)が炎症を起こすもので、靴のかかと部分との摩擦などが原因となることがあります。また、成長期の子ども(特に10歳前後の男の子)に見られるかかとの痛みとして、「シーバー病(踵骨骨端症:しょうこつこったんしょう)」があります。これは、かかとの骨の成長軟骨部分に、運動による繰り返しの牽引力が加わることで炎症が起こるもので、運動時や運動後に痛みが強くなるのが特徴です。その他、稀ではありますが、かかとの骨の「疲労骨折」も、長期間の過度な負荷によって起こることがあります。これらのスポーツによるかかと痛の予防と対策としては、適切なウォーミングアップとクールダウン、足に合ったシューズ選び、練習量のコントロール、ストレッチによる柔軟性の確保、そして痛みの初期段階での安静とアイシングが重要です。痛みが続く場合は、整形外科(特にスポーツ整形外科)を受診し、専門医の診断と治療、そしてリハビリテーションの指導を受けるようにしましょう。