甲状腺機能低下症の疑いで医療機関(主に内分泌内科や甲状腺専門外来、あるいは内科など)を受診する際、医師に自分の症状や状況を的確に伝えることは、正確な診断と適切な治療方針の決定のために非常に重要です。しかし、いざ診察室に入ると緊張してしまったり、何を伝えれば良いのか分からなくなってしまったりすることもあるでしょう。事前に伝えるべきポイントを整理し、準備をしておくことで、スムーズなコミュニケーションに繋がります。まず、最も重要なのは「いつから、どのような症状があるのか」です。倦怠感、疲労感、寒がり、体重増加(食事量は変わらないのに)、むくみ(顔、手足など)、便秘、皮膚の乾燥、声のかすれ、脱毛、記憶力低下、集中力低下、気分の落ち込み、眠気、月経異常(女性の場合)など、自覚している症状を具体的に伝えましょう。症状が出始めた時期や、症状の程度、日常生活への影響度なども伝えられると良いでしょう。次に、「過去の病歴や現在治療中の病気、服用している薬(市販薬やサプリメント、漢方薬も含む)」も必ず伝えましょう。特に、他の自己免疫疾患や、心臓病、脂質異常症、あるいはヨウ素を含む薬剤(うがい薬や造影剤など)の使用歴などは重要な情報です。「家族歴」も参考になります。家族にバセドウ病や橋本病といった甲状腺疾患の人がいる場合は、遺伝的な要因も考慮されます。「アレルギーの有無」や、「妊娠の可能性や授乳の有無(女性の場合)」も、治療法の選択に影響するため、必ず伝える必要があります。「生活習慣」についても聞かれることがあります。食事内容(特にヨウ素を多く含む海藻類の摂取状況など)、運動習慣、睡眠時間、ストレスの状況、喫煙歴、飲酒歴などを正直に伝えましょう。これらの情報をメモにまとめて持参すると、伝え忘れを防ぐことができます。また、健康診断などで甲状腺機能の異常(TSHや甲状腺ホルモン値など)を指摘されたことがある場合は、その結果を持参すると診断の助けになります。診察時には、医師からの質問に正直に答えるとともに、自分自身の不安な点や疑問点、治療に対する希望などを遠慮せずに伝えることが大切です。医師とよくコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことが、より良い治療への第一歩となります。