高齢になると、足のむくみ(浮腫)に悩まされる方が増えてきます。単なる加齢によるものと軽視されがちですが、中には注意が必要な病気が隠れている可能性もあります。では、高齢者の足のむくみで医療機関を受診する場合、まず何科に相談すれば良いのでしょうか。最初に相談すべき診療科としては、かかりつけの内科医が挙げられます。かかりつけ医は、普段の健康状態や既往歴、服用中の薬などを把握しているため、むくみの原因を多角的に探り、初期診断を行う上で非常に重要な役割を担います。問診や診察、そして必要に応じて血液検査や尿検査、心電図検査などを行い、心不全や腎不全、肝硬変、甲状腺機能低下症といった内臓疾患が原因でないかを評価します。もし、これらの内科的疾患が疑われる場合は、循環器内科や腎臓内科、消化器内科、内分泌内科といった専門の診療科へ紹介してくれます。また、足の血管の病気(例えば、下肢静脈瘤や深部静脈血栓症など)が原因でむくみが起きている可能性も考えられます。この場合は、循環器内科や血管外科が専門となります。特に、片足だけが急にむくんだり、痛みや赤みを伴ったりする場合は、深部静脈血栓症の可能性も否定できないため、早めの受診が必要です。整形外科も、足のむくみに関連する場合があります。例えば、変形性膝関節症や腰部脊柱管狭窄症などで、関節の炎症や神経の圧迫が原因で血行が悪くなり、むくみが生じることがあります。皮膚科は、むくみによって皮膚にかゆみや湿疹、色素沈着、潰瘍といった皮膚症状が現れている場合に、その治療やスキンケア指導で関わります。リンパ浮腫が疑われる場合は、リンパ浮腫専門外来や形成外科、血管外科などが相談先となります。このように、高齢者の足のむくみの原因は多岐にわたるため、まずはかかりつけ医に相談し、適切な専門科への橋渡しをしてもらうのが、最もスムーズで安心な方法と言えるでしょう。