首の後ろにしこりを見つけた時、皮膚科と内科、どちらを受診すれば良いのか迷うことがあるかもしれません。それぞれの診療科の役割と特徴を理解し、適切な受診先を選ぶことが大切です。まず、皮膚科は、皮膚およびその下にできるしこり(腫瘍)の診断と治療を専門とする診療科です。首の後ろにできるしこりの原因として最も多いのは、粉瘤(ふんりゅう:アテローム)や脂肪腫といった良性の皮下腫瘍です。粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造物ができ、その中に垢や皮脂が溜まってできるもので、中心に黒い点が見られることがあります。炎症を起こすと赤く腫れて痛むことがあります。脂肪腫は、脂肪細胞が増殖してできる柔らかいこぶです。皮膚科では、これらの良性腫瘍の診断(視診、触診、必要に応じて超音波検査など)と、手術による切除治療を行います。また、毛嚢炎(もうのうえん:毛穴の炎症)が悪化して大きなしこりになった場合や、稀ですが皮膚がんの一部がしこりとして現れることもあり、これらの診断と治療も皮膚科の専門領域です。次に、内科ですが、首の後ろのしこりがリンパ節の腫れである場合に、その原因を特定する上で重要な役割を果たします。リンパ節は、体内に侵入した細菌やウイルスと戦う免疫の拠点であり、感染症(風邪、扁桃炎、伝染性単核球症など)や炎症によって腫れることがあります。内科医は、問診や診察、血液検査などを行い、これらの感染症や炎症性の疾患がないかを調べます。また、稀ではありますが、悪性リンパ腫や他の臓器のがんのリンパ節転移といった悪性の病気が、首のリンパ節の腫れとして現れることもあります。内科では、これらの全身的な疾患の可能性も考慮し、必要であればより専門的な検査(CTやMRI、リンパ節生検など)や、専門の診療科(血液内科、腫瘍内科、耳鼻咽喉科など)へ紹介してくれます。どちらの科を受診するか迷う場合は、まず、しこりが皮膚の表面に近い、あるいは以前からあったホクロやイボが変化してきたような場合は皮膚科。発熱や倦怠感といった全身症状を伴う、あるいは複数のリンパ節が腫れているような場合は内科、という大まかな目安があります。
皮膚科?内科?首の後ろのしこりの受診先