不眠の症状で医療機関を受診しようと考えた時、心療内科と精神科、どちらが良いのか迷うことがあるかもしれません。どちらの科も不眠の診療を行っていますが、それぞれの役割や特徴を理解し、自分の状況に合わせて選ぶことが大切です。まず、心療内科は、主にストレスなどの心理的な要因が、身体症状として現れる「心身症」を専門とする診療科です。不眠も、ストレスや不安、気分の落ち込みといった心理的な問題が原因で起こることが多いため、心療内科の診療対象となります。特に、不眠以外にも、頭痛や腹痛、動悸、めまい、食欲不振といった身体症状が強く現れている場合や、仕事や家庭環境などのストレスが明確で、それが不眠に影響していると感じる場合には、心療内科が適していると言えるでしょう。心療内科では、問診を通じて患者さんの心理状態やストレス状況を丁寧に把握し、睡眠衛生指導やリラクセーション法、カウンセリングといった心理的なアプローチと、必要に応じて睡眠薬や抗不安薬などの薬物療法を組み合わせて治療を行います。次に、精神科は、うつ病、不安障害、統合失調症、双極性障害といった、より広範な精神疾患全般を専門とする診療科です。不眠が、これらの精神疾患の一症状として現れている場合(例えば、うつ病に伴う不眠など)や、不眠の背景に深刻な精神的な問題が潜んでいると考えられる場合には、精神科での専門的な診断と治療が必要となります。また、重度の不眠や、他の治療でなかなか改善しない難治性の不眠、あるいは睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群といった特定の睡眠障害が強く疑われる場合も、精神科(特に睡眠専門医のいる医療機関)が対応することがあります。どちらの科を受診するか迷う場合は、まず、自分の不眠の原因が主にストレスや心理的なものだと感じるか、あるいはより深刻な精神的な問題を抱えていると感じるかを考えてみましょう。また、医療機関によっては、心療内科と精神科が併設されていたり、どちらの科でも不眠の診療を行っていたりする場合もあります。事前に医療機関のホームページで診療内容を確認したり、電話で問い合わせたりしてみるのも良いでしょう。
心療内科?精神科?不眠の受診先の選び方