巻き爪と診断された場合、その治療は、爪の巻き込みの程度や炎症の有無、痛みの強さ、そして患者さんの希望などを考慮して、いくつかの方法が選択されます。治療法は、大きく分けて保存的治療と外科的治療(手術療法)があります。まず、保存的治療ですが、これは手術をせずに症状の改善を目指す方法です。症状が比較的軽い場合や、初期の段階では、以下のような保存的治療が試みられます。「テーピング法」:爪の食い込んでいる部分の皮膚を、テープを使って引き下げ、爪と皮膚の間に隙間を作ることで、圧迫を軽減し、痛みを和らげます。比較的簡便に行える方法です。「コットンパッキング法」:爪の縁と皮膚の間に、小さく丸めたコットンやガーゼを挟み込み、爪が皮膚に食い込むのを防ぎます。これも、痛みや炎症の軽減に役立ちます。「爪の切り方の指導」:深爪やバイアスカットを避け、正しい爪の切り方(スクエアカットなど)を指導することで、症状の悪化を防ぎます。「外用薬・内服薬」:爪の周囲に炎症や感染(爪囲炎など)がある場合は、抗菌薬の塗り薬や飲み薬、消炎鎮痛剤などが処方されます。「矯正治療」:ワイヤーやプレート、特殊な樹脂などを用いて、巻き込んでいる爪を徐々に平らな形に矯正していく方法です。様々な種類の器具や方法があり、多くは自費診療となりますが、効果が高い場合もあります。これらの保存的治療で十分な効果が得られない場合や、症状が重い場合、あるいは再発を繰り返す場合には、「手術療法」が検討されます。手術にはいくつかの方法がありますが、代表的なものに「部分切除術(爪の一部を切除する)」や、「フェノール法(爪の縁の爪母という爪を作る部分を薬剤で処置し、爪の幅を狭くする)」、「鬼塚法(爪の縁の皮膚を切除して縫い縮める)」などがあります。多くの場合、局所麻酔による日帰り手術が可能ですが、術後の安静やケアが必要です。どの治療法が最適かは、個々の状態によって異なりますので、必ず医師とよく相談し、納得のいく治療を選択することが大切です。
巻き爪の治療法保存療法から手術まで