尿に血が混じる「血尿」は、見た目に明らかなもの(肉眼的血尿)から、検査で初めてわかるもの(顕微鏡的血尿)まで様々ですが、いずれも何らかの体の異常を示すサインである可能性があります。血尿に気づいた時、あるいは健康診断などで指摘された時、最初にどの診療科を受診すれば良いのか迷う方は少なくないでしょう。血尿の原因となる疾患は多岐にわたりますが、主に尿が作られる腎臓、尿の通り道である尿管、尿を溜める膀胱、そして尿を体外へ排出する尿道といった「泌尿器系」の臓器に関わる病気が多いです。そのため、血尿の診療において中心的な役割を担うのは「泌尿器科」です。泌尿器科医は、尿検査(尿沈渣:尿の中の細胞成分を顕微鏡で調べる検査を含む)、血液検査、超音波検査(エコー検査)、レントゲン検査、CT検査、MRI検査、そして必要に応じて膀胱鏡検査(内視鏡で膀胱内を直接観察する検査)などを行い、血尿の原因を特定し、適切な治療を行います。血尿の原因としては、尿路感染症(膀胱炎、腎盂腎炎など)、尿路結石(腎結石、尿管結石など)、腎臓の病気(糸球体腎炎、IgA腎症など)、そして最も注意が必要なものとして、膀胱がんや腎がん、尿管がんといった悪性腫瘍が挙げられます。特に、痛みを伴わない肉眼的血尿は、悪性腫瘍の重要なサインである可能性があるため、速やかな受診が推奨されます。では、かかりつけの内科医がいる場合はどうでしょうか。もちろん、まずはかかりつけ医に相談することも可能です。かかりつけ医は、初期的な尿検査や血液検査を行い、血尿の程度や他の症状(発熱、腹痛、排尿時痛など)を評価し、泌尿器科への受診が必要かどうかを判断してくれます。紹介状があれば、泌尿器科での診察もスムーズに進むことが多いでしょう。重要なのは、血尿を「たまたまだろう」「すぐに治るだろう」と自己判断で放置しないことです。早期発見・早期治療が、重大な疾患の見逃しを防ぎ、良好な治療結果に繋がることを忘れてはいけません。