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認知症と診断された後の医療機関との付き合い方
認知症と診断された後、患者さんとその家族は、医療機関と長期的に付き合っていくことになります。この関係性を良好に保ち、適切な医療とケアを受け続けることは、認知症の進行を緩やかにし、生活の質を維持するために非常に重要です。まず、診断を下した医師(専門医やかかりつけ医)が、今後の治療方針やケアプランの主治医となることが多いです。定期的な受診を通じて、認知機能の状態の変化、行動・心理症状(BPSD)の有無や程度、日常生活の状況、薬の効果や副作用などを評価し、必要に応じて治療法を調整していきます。診察時には、本人だけでなく、日常的に介護や見守りをしている家族からの情報提供が不可欠です。最近の様子の変化、困っていること、工夫していることなどを具体的に医師に伝えることで、より的確なアドバイスや治療法の選択に繋がります。疑問点や不安なことがあれば、遠慮せずに質問し、納得のいく説明を受けるようにしましょう。医師とのコミュニケーションを円滑にするためには、事前に伝えたいことや質問事項をメモにまとめておくと良いでしょう。また、医療機関には医師だけでなく、看護師、精神保健福祉士、臨床心理士、作業療法士、薬剤師など、様々な専門職が関わっています。これらの専門職は、それぞれの専門性を活かして、患者さんと家族を多角的にサポートしてくれます。例えば、看護師は日常生活上のケアに関するアドバイス、精神保健福祉士は介護保険サービスや社会資源の利用に関する相談、薬剤師は薬の飲み方や副作用に関する説明など、それぞれの役割があります。必要に応じて、これらの専門職にも積極的に相談し、協力を得ることが大切です。さらに、認知症の治療は医療機関だけで完結するものではなく、ケアマネジャーや訪問看護師、デイサービスのスタッフなど、地域の介護サービス事業者との連携も不可欠です。主治医とケアマネジャーが情報を共有し、医療と介護が一体となってサポート体制を築くことが、認知症の人とその家族が安心して地域で暮らし続けるための鍵となります。信頼できる医療機関と良好な関係を築き、共に歩んでいくという意識を持つことが大切です。