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首の後ろのしこり悪性リンパ腫やがんの可能性は?
首の後ろにしこりを見つけると、「もしかしたら悪い病気なのでは…」と不安になるのは当然のことです。多くの場合、良性のリンパ節炎や粉瘤、脂肪腫などですが、稀に「悪性リンパ腫」や「他の臓器のがんのリンパ節転移」といった悪性の病気が原因である可能性も否定できません。どのような場合に悪性を疑うべきか、注意点を知っておきましょう。悪性リンパ腫は、血液のがんの一種で、リンパ系組織から発生します。全身のリンパ節が腫れることが特徴の一つで、首のリンパ節(後頸部リンパ節も含む)も腫れやすい部位です。悪性リンパ腫によるリンパ節の腫れは、多くの場合、痛みを伴わず、ゴムまりのように硬く、触ってもあまり動かず、徐々に大きくなっていく傾向があります。また、複数のリンパ節がくっつき合って大きな塊になったりすることもあります。さらに、原因不明の発熱(特に38度以上が続く)、体重減少(半年で10%以上)、そしてひどい寝汗(パジャマを着替えるほど)といった全身症状(B症状と呼ばれます)を伴う場合は、悪性リンパ腫の可能性をより強く疑う必要があります。次に、他の臓器のがん(例えば、肺がん、胃がん、乳がん、あるいは頭頸部のがんなど)が、首のリンパ節に転移して、しこりとして触れることがあります。この場合も、転移したリンパ節は硬く、痛みを伴わないことが多いですが、元の原発巣のがんの種類や進行度によって、様々な症状が現れることがあります。悪性の病気が疑われるその他のサインとしては、しこりが急速に大きくなる、しこりの表面の皮膚の色が変わったり、潰瘍ができたりする、しこりが周囲の組織と癒着して動かない、声がかすれる、飲み込みにくいといった症状がある場合などです。これらのサインは、あくまで一般的なものであり、全てが当てはまらなくても悪性の可能性が否定できるわけではありません。首の後ろにしこりがあり、特に上記のような気になる特徴がある場合や、原因不明の体調不良が続く場合は、自己判断せずに、できるだけ早く医療機関(内科、耳鼻咽喉科、血液内科、腫瘍内科など)を受診し、精密な検査(血液検査、画像検査、リンパ節生検など)を受けることが非常に重要です。早期発見と早期治療が、予後を大きく左右します。