良いクリニックの見分け方

2025年8月
  • 猩紅熱と溶連菌感染症は同じ原因菌?

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    「猩紅熱(しょうこうねつ)」と「溶連菌感染症」。これらは子供を持つ親御さんなら一度は耳にしたことがあるかもしれない病名ですが、二つの関係性について正確に理解している方は意外と少ないかもしれません。結論から申し上げると、猩紅熱は溶連菌感染症の一つの病型、つまり溶連菌感染症が特定の症状を示した場合の呼び名です。原因となる細菌はどちらも同じ「A群β溶血性連鎖球菌(A群レンサ球菌、略して溶連菌)」です。この溶連菌は、主に喉に感染して咽頭炎や扁桃炎を引き起こすことが多く、これが一般的な溶連菌感染症のイメージでしょう。発熱、喉の痛み、体や手足の発疹、イチゴ舌(舌に赤いブツブツができる)などが主な症状です。では、猩紅熱とは何が違うのでしょうか。猩紅熱は、この溶連菌が産生する「発疹毒(ほっしんどく)」または「紅斑毒(こうはんどく)」という毒素に対して免疫がない人が感染した場合に、全身に広がる鮮やかな赤い発疹(猩紅色)が現れる病態を指します。つまり、溶連菌に感染したからといって必ずしも猩紅熱になるわけではなく、毒素を産生する菌株に感染し、かつその毒素に対する抗体を持っていない場合に発症するのです。かつて猩紅熱は、法定伝染病として恐れられていた時代もありましたが、抗菌薬(抗生物質)による治療法が確立され、また衛生環境の改善などにより、典型的な症状を示す患者数は減少しました。しかし、原因菌である溶連菌自体は依然として存在しており、子供を中心に感染症を引き起こしています。したがって、猩紅熱と溶連菌感染症は、根本的には同じ細菌による感染症であり、猩紅熱はその中でも特徴的な発疹を伴う重めの病型と理解することができます。症状の現れ方には個人差がありますが、どちらも適切な抗菌薬治療が必要であることに変わりはありません。