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側頭動脈炎の症状が出たら何科を受診すべきか
側頭動脈炎は、主に頭部の大きな動脈、特にこめかみ付近を走行する側頭動脈に炎症が起こる病気で、巨細胞性動脈炎(GCA)の一種とされています。50歳以上の高齢者、特に女性に多く見られ、初期症状としては、こめかみを中心とした持続的な頭痛、側頭部の圧痛(押すと痛む)、発熱、全身の倦怠感、食欲不振、体重減少などが挙げられます。また、食事の際に顎が疲れて痛む「顎跛行(がくはこう)」や、髪をとかす際に頭皮が痛むといった症状も特徴的です。この病気で最も注意すべき合併症は、眼動脈に炎症が及ぶことによる視力障害で、最悪の場合、失明に至る可能性もあるため、早期発見・早期治療が非常に重要です。では、これらの症状に気づいたら、何科を受診すれば良いのでしょうか。側頭動脈炎は、リウマチ性疾患(膠原病)の一つとして扱われることが多いため、主に「リウマチ科(膠原病内科)」が専門的な診療を行います。リウマチ専門医は、側頭動脈炎の診断基準に基づき、問診、身体所見の確認、血液検査(赤沈、CRPなどの炎症反応、血小板数など)、そして確定診断のために側頭動脈生検(側頭動脈の一部を採取して顕微鏡で調べる検査)などを検討します。しかし、初期症状が頭痛や発熱であるため、最初にかかりつけの内科や脳神経内科、あるいは眼の症状があれば眼科を受診するケースも少なくありません。これらの診療科でも、側頭動脈炎を疑う所見があれば、リウマチ科への紹介が行われます。特に、高齢者で原因不明の頭痛や発熱が続く場合、あるいは急な視力低下が見られた場合には、側頭動脈炎の可能性を念頭に置くことが大切です。もし、かかりつけ医がいない場合や、どの科を受診すべきか迷う場合は、総合病院の総合内科や総合診療科に相談し、そこから適切な専門科へ繋げてもらうのも一つの方法です。重要なのは、症状を軽視せず、早期に医療機関を受診し、正確な診断を受けることです。治療が遅れると重篤な合併症のリスクが高まるため、迅速な対応が求められます。