良いクリニックの見分け方

2025年6月
  • 認知症の診断プロセスと行われる検査の内容

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    認知症の診断は、単一の検査だけで行われるものではなく、多角的な情報を総合的に評価して下されます。まず、本人や家族から詳しい話を聞く「問診」が非常に重要です。いつ頃からどのような症状(物忘れ、判断力の低下、性格の変化、日常生活での困りごとなど)が現れたのか、その進行の速さ、既往歴、服薬状況、生活歴、家族歴などを詳細に聴取します。この情報は、認知症の種類や原因を推測する上で貴重な手がかりとなります。次に、認知機能を客観的に評価するための「神経心理検査(認知機能検査)」が行われます。代表的なものには、長谷川式認知症スケール(HDS-R)やミニメンタルステート検査(MMSE)があり、記憶力、見当識(時間や場所の認識)、計算力、言語能力、遂行機能(計画を立てて実行する能力)などを点数化して評価します。これらの検査は、認知機能低下の有無や程度を把握するのに役立ちます。さらに、認知症の原因を特定し、他の疾患との鑑別を行うために、「画像検査」が行われます。頭部CT検査やMRI検査は、脳の萎縮の程度や部位、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍などの有無を確認するために用いられます。アルツハイマー型認知症では海馬傍回の萎縮、脳血管性認知症では脳血管障害の所見が見られることがあります。SPECT(スペクト)やPET(ペット)といった脳血流や脳代謝を調べる検査は、より早期の診断や認知症の種類の鑑別に有用な場合があります。また、「血液検査」や「尿検査」も行われます。これらは、認知症に似た症状を引き起こす可能性のある身体疾患(例えば、甲状腺機能低下症、ビタミンB12欠乏症、神経梅毒など)や、生活習慣病(糖尿病、脂質異常症など)の有無を調べるために重要です。場合によっては、脳脊髄液検査が行われることもあります。これらの問診、神経心理検査、画像検査、血液検査などの結果を総合的に判断し、医師が認知症の診断、原因疾患の特定、重症度の評価を行います。早期かつ正確な診断は、その後の適切な治療やケアプランの作成に不可欠です。